田畑社会保険労務士事務所

〇万円の壁解消の助成金?

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〇万円の壁解消の助成金?

〇万円の壁解消の助成金?

2023/07/05

130万円の壁…社会保険被保険者の一定の家族は年収が130万円未満の場合には被扶養者として健康保険(配偶者の場合には国民年金も)に入ることが出来ます。逆にこの額を越えてしまうと扶養から外れ、自分の勤務先の社会保険の被保険者になるか、国民健康保険・国民年金に自分で入らなければなりません。

 

106万円の壁…一定規模以上の事業所に勤めている人(パートも含む)が下記の要件を満たすと自分の勤務先で社会保険に入る必要があります。この場合には上記130万円の壁に関係なく扶養から外れます。

・事業所の従業員数が101人以上

・週の所定労働時間20時間以上

・賃金が月額8.8万円以上

・雇用契約期間が2か月以上

・学生ではない

 

被扶養者から外れて自分の社会保険になると、将来の年金額が増えたり、怪我や病気の際に傷病手当金が支給されるので100%払い損ということにはならないのですが、短期的には収入が減って損と考えて労働時間を意図的に抑える人がたくさんいます。

 

現状の人手不足を解消するために、そのような人が社会保険料を気にせず働けるように、保険料を会社が負担することにしたら1人につき50万円を支給するという報道がありました。

(ソースを貼ろうと思ったのですが、新聞社のサイトはどこも途中から会員専用になり、全文読めるサイトを見つけられませんでした)

 

これは色々問題があると感じています。

 

まず、社会保険労務士は助成金を依頼されるので助成金額の点から。

 

賃金月額8.8万円の人が社会保険の被保険者になると増える会社負担は厚生年金8,052円、健康保険4,527円(北海道の場合)。

社会保険料は会社と労働者が半分ずつ負担しているので全額会社負担だと上記の2倍になります。

 

1人50万円1回きりなら単純計算で20か月で使い切ってしまい、それ以降は会社負担だけが残るので助成金には魅力がありません。

また、現在、負担を承知で社会保険料を払って働いている人は助成金の対象外となることが濃厚です。

もし、対象外であれば対象になった人の方が社会保険料分の手取り賃金が増えるか、会社が対象外の人の賃上げを行って差分を補う必要が出て来ます。

前者なら不公平感から職場の雰囲気が悪くなるでしょうし、後者なら会社の負担が更に増えます。

 

もう一つは106万円の壁自体の存在意義です。

 

元々は2016年までは130万円の壁しかありませんでしたが、社会保険の被保険者を増やすためにわざわざ106万円の壁を作り、段階的に拡大しているところです。

106万円の壁が原因で人手不足になっているなら壁の方を調整すべきで、壁も社会保険制度もそのままで、助成金だけ支給されても根本的な解決にならないと思っています。

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